税務調査に関するQ&A
問7 (更正の請求の添付書類)
個人で不動産賃貸業を営んでいた父が今年死亡し、平成22年分の確定申告書を見たところ
減価償却費が漏れていたので、更正の請求書を税務署に提出しました。その後税務署から不動
産の契約書等取得価格が分かるものの提出を求められたので探したところ見つかりません。金額は
平成13年分の確定申告書の控で把握しました。平成14年分以降は減価償却していませんでし
た。契約書等がなければ更正の請求で減価償却費は認められないのでしょうか。
答 売買契約書や請負契約書があればよいのですが、ないのでしたら平成13年分の確定申告書の
写し(税務署には7年分しか保存されていません)及び固定資産税の納税通知書の写し(家屋等
の取得時期が分かります)を提出したらよいと思います。取得の時期が古いので、これで認めてくれ
ると思います。また、平成21年分以前についても嘆願書を提出すれば減額が認められる場合もあり
ますから、所轄の税務署で相談されるといいと思います。
問6 (調査結果に納得がいかない場合)
税務署の調査結果について納得がいかない場合にはどうすればよいのですか。又、その場合の
手続き等について教えてください。
答 税務署の調査結果について納得がいかない場合には、修正申告書は提出しないことになりま
す。(納得がゆくまで説明を求めたほうがよいと思います。また、こちらの説明も調査担当者にわか
りやすい ように丁寧に説明するようにしてください。)
修正申告書の提出がない場合には、税務署で更正処分をすることになります。
その場合の一連の流れは概略次のとおりです。
更正処分(税務署・青色申告の場合には処分の理由が記載されています)→異議申立て(更正
等に納得がいかない場合は、処分の通知を受けた日の翌日から2カ月以内に税務署長に対し
提出)→異議決定(税務署長・異議調査の担当者は、調査をした担当者とは別な職員になりま
す・概ね3か月以内に異議決定がされます)→審査請求(異議決定になお、不服がある場合には、
異議決定書の謄本の送達を受けた日の翌日から1か月以内に国税不服審判所長に提出・概
ね1年以内に裁決がされます)→訴訟(裁決になお不服がある場合には、裁決所謄本の送達を
受けた日の翌日から6カ月以内に裁判所に訴えを起こすことができます)
審査請求までは税理士の代理報酬以外には特に費用はかかりませんが、裁判になれば争いに
なる金額により費用がかかります、又、ここからは弁護士に依頼することになります。
問5 (調査対象について)
当社は開業3年目ですが、そろそろ調査に来ると思っています。ところで、調査対象はどのよう
にして選ぶのですか。
答 私は、税務署に勤務している頃個人を担当する部門の統括国税調査官として個人の調査対
象者の選定からその進行管理を永年してきました。法人の場合少し違うと思いますが、原則に大
きな違いはないと思います。概ね次の基準で選んでいました。
1 税務署の上部機関である国税庁や国税局が優先して調査すると決めた業種に属する者
2 その税務署独自で優先して調査すると決めた業種に属する者
3 個別に管理する重要な資料が有、申告が過少と思われる者
4 その他の資料が有、申告が過少と思われる者
法律で提出が義務付けられた資料(法定資料)、会社や他の役所に依頼して収集した資料、調
査等の際に収集した資料等税務署にはいろいろな資料があります。なかには別居中の妻や首に
なった人からの情報もあります。
5 その者の申告書や決算書の分析により申告が過少と思われる者
毎年売上が増加しているがその割に所得が増加しない者、などは調査に選ばれる確率が高くなりま
す。
6 過去に不正が有一定の期間が経過した者
過去に不正をした者は次にも不正をする確率が高いです。
7 ある程度の規模が有、一定の期間が経過した者
問4 (調査への対応)
会社を設立して初めて税務署の調査があることになりました、どのように対応したらよいでしょうか。
答 普段と変わらない態度で応対するようにしてください。
調査の際の最初の質問内容は、事業概況(仕事の内容を含みます)、作成している帳簿の種類、
記帳の基となった帳票類(請求書、納品書、領収書等)その作成過程および作成者それらの保存
場所などです。代表者の個人預金についても聞かれると思います。そして、これらの書類の提出を求
め、税務調査で解明すべき事項について調査をします。
また、調査官は調査の途中でいろいろな質問をし、調査を進めることになります。その際、調査官は
こちらが、答えたくないことについても何回も質問をします、たとえ腹が立ったとしても、大声をあげたり、
質問に答えなかったりということは避けてください。答えられないことについてはその理由について丁寧に説
明をするようにしてください。あくまでも淡々と慇懃無礼に冷静な対応をすることが肝心です。
調査官は応対する人の反応を見ながらその質問が効果があったか判断しています。私も現役の調
査官のときに、相手の不審な動きや、反応により不正を発見したことが多々あります。何か隠している
場所などをちらちら見たりするとすぐわかりますから注意が必要です。
なお、調査官に対して昼食を用意する必要はありません(調査先では食事をしないよう指示されてい
ます)。
問3 (青色申告の取り消し)
修正申告書を提出しないと青色申告の承認が取り消されると聞いたが、どんな場合に取り消され
るのでしょうか。
答 修正申告をしなかったからという理由で取り消されることはありません。青色申告の承認が取り消さ
れるのは、次に該当するような場合に限られます。
1 税務調査で再三帳簿書類の提示を求められたにもかかわらず提示しなかった。
2 仮装隠ぺいによる不正所得金額が500万円を超える時。
3 税務署長の指示に従わなかった。(記帳していなかった、又は記帳に不備があった)
したがって、多少記帳に不備があっても、不備と指摘されたことについて今後是正することを約束すれば
青色申告の承認が取り消されることはありません。
問2 (修正申告書の提出義務)
税務署の調査が有、修正申告書を提出するように言われたがどうしても提出しなければいけないの
か。
答 税務署の調査官が修正申告書の提出を求める際には、修正申告書を提出しなければならない理
由のほかに、修正申告書を提出すると異議申し立てができないこと、修正申告書を提出しない場合に
税務署で更正処分をすること、また、更正処分を受けた場合には異議申し立てができること等について
説明することになっています。青色申告の場合には更正処分をするにはその理由を更正通知書に付記
しなければなりませんので、担当者としては、なるべく修正申告書を提出してもらいたいことになります。
したがって、修正申告書を提出することになる理由にどうしても納得がいかない場合には、修正申告
書を提出しないこともできます。
問1 (無予告調査への対応)
仕事が忙しいときに、いきなり税務署員が調査に来ていろいろ質問をしたが、このような場合にはどう
すればいいのか。
答 飲食店などのいわゆる「現金商売」の場合には、売上げや現金をどのように管理しているのかを把
することが重要です。そのため、税務署では「事前通知」を原則としながらも「現金商売」などの場合
は無予告にて調査を行うことがあります。しかしながら、あくまでも「任意調査」ですから仕事が忙しくて
しょうがないなどの場合には、その旨を丁寧に説明して、調査を早急に切り上げてもらうことができます。
その場合次回の調査を約束するなど税務署調査に協力する必要があります。調査は任意ですが正
当な理由がなく拒否することはできませんので、できるだけ都合をつけて調査に応じおる必要がありま
す。
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