確定申告は古矢敏男税理士事務所(台東区・荒川区・文京区)


税金情報目次

◎医療費控除について
■還付申告の注意点
■電子申告のメリット・デメリット
■開業したら届け出はどうする
■年末調整の際の注意点
■事業的規模とは
■社会保険診療報酬の特例
 を受ける場合の注意点
■変動所得及び臨時所得が
ある場合の平均課税

税金に関する情報



○税金に関するQ&A
  税務調査に関する疑問・質問は税務調査に関するQ&A
  法人税に関する疑問・質問は法人税に関するQ&A 
  所得税に関する疑問質問は所得税に関するQ&A 
  消費税に関する疑問・質問は消費税に関するQ&A
  還付申告に関する疑問・質問は還付申告に関するQ&A
 相続税 ・贈与税に関する疑問・質問は相続税・贈与税に関するQ&A

○税金情報


◎ 要介護・要支援認定者の障害者控除及びおむつ代の医療費控除について
○障害者控除
 要介護・要支援認定を受け障害者に準ずる者として平成21年12月31日以前に認定された
場合は障害者控除が受けられます。なお、障害者控除を受けるためには「障害者控除対象者
認定書」の提示が必要となります。認定書の申請手続きは、高齢福祉課(区市町村により課名
は異なります)で行っています。(障害者手帳をおもちのかたは手帳で控除が受けられます)
○おむつ代の医療費控除
ねたきり高齢者がおむつ代の医療費控除を受けるには、医師の発行する「おむつ証明書」が必要
です。介護保険の要介護認定者は、「おむつ使用証明書」にかわるものとして、市区町村の発行
する「主治医意見書の内容を確認した書類」でも控除が受けられます。要件は次の通りです。
ア おむつ代について、医療費控除を受けるのが2年目以降の方
イ ねたきりの状態にある方
ハ 尿失禁の可能性が高い方
注 上記のいずれの手続きについてもある程度のに数がかかるようですから、該当者は手続きをお
  早めに。

■還付申告の注意点
 給与所得者の場合には通常確定申告は必要ありませんが、確定告をすれば税金が還付
になる場合があります。
 下記のような場合には確定申告をして税金の還付を受けましょう。(代表的な還付申告について
のみ記載していますので下記以外でも還付になる場合がたくさんあります、これはと思ったら国税庁
のHP等で調べてみましょう。
 なお、電子申告をすれば通常の場合より、還付が早くなります。

1 居住用の住宅を取得した場合
(1)控除を受けるための要件
 ○居住用の建物を取得してから6か月以内に本人が居住し、引き続き12月31日まで居住。
 ○12月31日現在償還期間が10年以上の住宅ローンがある。
 ○建物の面積が50平方メートル以上あり(契約書の面積ではなく、登記簿上の面積です)、
 建物全体の2分の1以上が居住スペース。
 ○居住用の土地・建物を譲渡して(利益が有)その特例を受けない。(譲渡所得の特例との併用
  はできません、借家住まいだった方や譲渡が赤字だった方は適用できます。)
 ○中古住宅を取得の場合は、築後20年以内(マンションの場合は25年以内)ただし、新耐震
  基準等に適合する中古住宅を取得した場合は築後年数に関係なく控除の適用があります。
 ○特別控除を受けようとする年の合計所得金額が3千万円以下。
(2)必要な書類
 ○登記事項証明書(建物の所在地を管轄する法務局等で発行)
 ○売買契約書又は工事請負契約書のコピー
 ○住民票の写し(居住している市区町村で発行)
 ○住宅取得資金に係る借入金の残高証明書(借り入れた金融機関が発行)
 ○住宅借入金等特別控除額の計算明細書(税務署にあります、控除額を計算する用紙です)
   なお、夫婦で共有している場合などは、年末残高証明書以外は、「共有者〇○に添付」として
一緒に確定申告をすれば手数料が節約できます。ばらばらに申告したり、誰に添付したかをきちんと
 記載しないと、還付が遅くなる場合がありますから注意してください。
 ○給与所得者は源泉徴収票も必要になりますので注意してください。
(3)控除額
  住宅ローン等年末残高の合計額(新築又は購入における取得対価の額が住宅ローン等の年末
 残高の合計額よりも少ないときはその金額。以下「年末残高等」といいます。)を基に、居住の用に
 供した年分の計算方法により算出します。平成21年に居住の用に供した場合は次のとおりです。
  なお、給与所得者は、確定申告した年分の翌年以降の年分については年末調整でこの適用を
 受けることができます。
  確定申告をした年の10月頃に適用可能な年分すべてについての「年末調整のための住宅借入
 金等特別控除証明書」(証明書の上部が「給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書」に
 なって います。)が送付されますから紛失しないよう大切に保管してください。
 ○1〜10年目    年末残高等×1%(最高50万円)
  
2 多額の医療費がかかった場合
(1)控除を受けるための要件
   本人又は本人と生計を一にする親族のために支払った医療費の額が下記(3)のアとイの金額の
  合計額より多い場合。
(2)必要な書類
   医療費の領収証(健康保険組合の医療費のお知らせは領収証ではありませんから注意してくだ
  さい。)
(3)医療費控除の対象となる金額
  (実際に支払った医療費の合計額−アの金額)−イの金額
  ア 保険金などで補てんされる金額(生命保険や健康保険などからの給付金)
  イ 10万円(その年の総所得金額等が200万円未満の人は、総所得金額の5パーセントの金額)

3 国、地方公共団体及び公益法人等に寄附をした場合
(1)一定の寄附金が5千円を超えた場合
  公益法人等の範囲については記載を省略しますが、寄附金控除の対象となる場合は、領収証又
 は証明書に寄附金控除の対象になる旨の記載があります。
(2)必要な書類
 ○寄附した団体から交付を受けた領収証
 ○寄付金控除の対象となる旨の証明書
(3)寄付金控除の対象となる金額
  次のいずれか低いほうの金額−5千円
  ア その年に支出した特定寄附金の合計額
  イ その年の総所得金額の40%相当額


■電子申告のメリット・デメリット
 電子申告をすることによりメリットがあるのか、またデメリットはないのかについて調べてみました。

1 電子申告の流れ
(1)電子証明書を取得する:ICカード等を取得し電子証明を登録
(2)開始届け出を提出する(書面でもオンラインでもできます)
(3)利用者識別番号を取得(e-taxコーナーからオンラインで行うと即時日曜社識別番号が交付
  されます)
(4)e-taxソフトをダウンロードする
(5)初期登録を行う:カードリーダライタが必要・暗証番号の変更
(6)電子申告を行う:e-taxソフトを利用して申告データを作成し送信
(7)受付確認を行う:メールボックスで確認
(8)電子納税を行う:インターネットバンキングを利用又はぺージーを利用して支払

2 メリット
(1)4千円の税額控除がある(税理士による代理送信の場合は受けられません)
(2)金融機関により借り入れ金利が優遇される(まだ数は少ない)
(3)期限間際でも税務署に行かなくていい(個人の確定申告は24時間対応)
(4)個人の確定申告の場合、還付金の支払いが速くなる(通常6週間が3週間になる)
(5)郵送料が不要になる
(6)紙ベースで新穀の場合は確定申告書、決算書及び税務代理権限証書等に押印する必要が
  あったが、電子申告の場合不要になるので、手間が少なくなる
(7)e-taxで納税証明書の交付請求を行うと手数料が安くなる

3 デメリット
(1)電子納税をするには、インターネットバンキングを利用するかぺージーを利用して納付することに
  なるが、インターネットバンキングの利用には利用料がかかるし、ぺージーは利用できる場所が少
  ない
(2)ICカードを準備したり、カードリーダライタの購入等の費用や、手間がかかる。(税理士に依頼す
  る場合には、必要ありません)
(3)パソコンに詳しくないので覚えるのが大変(税理士に依頼する場合にはすべて税理士にやってもら
  えます)

4 電子申告の疑問点
(1)申告書用紙はどうなるのか
  税務署への申告書の提出が、データの送信になるだけで、申告書控えは印刷すれば今までと同じ
  です。
(2)パソコンがないけど電子申告はできるのか
  会社・又は個人で電子申告する場合にはないとダメですが、税理士にい洗いする場合には、税理
  士が申告データを作成し代理送信に手電子申告をしますから、パソコンはなくても電子申告は可能
  です。
(3)納税も電子納税をこなうのですか
  個人の場合は今まで通り振り替え納税のほうが便利ですし、口座から引き落としになるのも1ケ月ぐ
  らい遅くなりますが、電子申告の場合は即座に引き落としになりますから振り替え納税のほうが有利
  です。また、現金で納付することもできます。


■開業したら届け出はどうする
開業した後の税金関係の届け出(税務署への提出書類)はどうすればいいのか、法人(株式会社等
の設立登記をした場合)、個人及び共通するものに区分して記載しました。なお、届出書等の提出先
は、法人の場合は、本社の所在地を管轄する税務署、個人の場合は個人事業者の住所地を管轄
する税務署になります。(届出書は一般的なものを掲載しています、また、特典については主なものに
ついて掲載しています)

1 法人が提出する届出書等
(1)法人設立届出書
  法人設立の日から2月以内に提出
  添付書類 
 ○定款の写し
 ○設立の登記簿謄本(履歴事項証明書)
 ○株主の名簿
 ○現物出資をした者の氏名、出資の金額及び目的物を記載した書類
 ○設立趣意書
 ○設立時における貸借対照表
(2)青色申告の承認申請書
   法人設立した日から3月以内に提出
  ◎特典
   欠損金を7年間繰り越せます(開業当初は欠損になることが多いのでメリットがあります)
(3)減価償却資産の償却方法の届出書
  設立第1期の終了日から2月以内に提出
(4)棚卸資産の評価方法の届出書
  設立第1期の終了日から2月以内に提出

2 個人事業者が提出する届出書類等

(1)個人事業の開廃業届出書
  事業を開始した時から1月以内に提出
  開業と廃業の療法使用できるようになっていますから、廃業の文字を抹消してください。
  遅れても不利益はありませんが、提出すると確定申告書が送付されます。
(2)所得税の青色申告承認申請書
  事業を開始した時から2月以内に提出
 ◎特典
 ○純損失を3年間繰り越せます(開業当初は赤字になることが多いのでメリットがあります)
 ○青色事業専従者給与の必要経費算入(一緒に生活している家族が事業に専従している
  場合に届出書を提出すれば支払った給与を必要経費に算入できます)
 ○青色申告特別控除
  10万円又は65万円を限度に控除できます。なお、65万円の控除には複式簿記により記帳
  するなどいくつかの適用要件があります。
(3)青色事業専従者給与に関する届出(変更届出)書
  専従者がいることとなった日から2月以内に提出
(4)所得税の減価償却資産の償却方法・棚卸資産の評価方法の届出書
  事業を開始した年の翌年3月15日までに提出

3 個人及び法人共通の様式の届出書
(1)消費税の課税事業者選択届出書
  法人の場合は、設立第1期の末日、個人事業者の場合は事業を開始した年の末日までに
  提出
  新規に事業を開始し設備投資等の額が多額な場合には、この届出書を提出することにより、消
  費税が還付になります(翌年又は翌事業年度も消費税の申告が必要になるので、2年間で考え
  て選択したほうが有利になるか判断する必要があります。
(2)給与支払い事務所等の開設・移転・廃止届出書
  給与の支払い事務を取り扱う事務所を開設した日から1月以内に提出
  開設の文字を丸で囲んでください
(3)源泉所得税の納期の特例の承認申請書
  申請した翌々月の納付分から特例が適用になります。
  この特例を適用する場合は、7月10日(1月から6月支給分)及び翌年1月10日(7月から12
  月支給分)の年2回の納付になりますが、適用しない場合は毎月支給した月の翌月10日に
  納付することになります。


■年末調整の際の注意点
勤務先に提出する申告書は次のとおりです。
1 給与所得者の扶養控除(異動)申告書
  この申告書は、その年の最初の給与を受ける時までに提出することになっています。また、異動
 があった場合には、そのつど異動申告することになっていますが、就職して異動申告書を提出してい
 ない人は提出してください。(16歳未満の年少扶養親族に対する扶養控除は廃止になりました。
 また、特定扶養親族のうち16歳から18歳までの人に対する扶養控除の上乗せ部分も廃止され
 ました)すでに提出している人でも、次の場合には注意が必要です。

(1)配偶者や扶養親族がパート等で働いている場合。
  年間の見込み金額で申告書を提出しているはずですから、パート等の収入金額が103万円以
 下であるかを、配偶者や扶養親族に確認する必要があります。きちんと確認しないと、翌年になって
 収入金額が超過していることがわかると前年の分の所得税をまとめて支払うことになり、勤務先にも
 迷惑をかけることになりますので注意してください。
(2)夫婦共稼ぎの場合
  扶養親族を夫婦で一人ずつにしているような場合、どちらかの収入が大幅に減少した場合には異
 動申告をしたほうが有利になる場合があります
(3)別居している両親等を扶養親族にしている場合
  他に兄弟等で働いている場合には、誰が扶養親族にするかよく相談する必要があります。
  兄弟2人で重複して扶養親族にはできませんから注意が必要です。

2 給与所得者の配偶者特別控除申告書(保険料控除申告書と一緒になっています)
 パート等の給与収入の場合103万円を超え、141万円未満の人が控除を受けられます。
 給与所得者の場合、給与収入金額が12,513,333円を超える時は、合計所得金額が1千万円を
超えることになりますから、配偶者特別控除を受けられません。

3 給与所得者の保険料控除申告書
(1)一般の生命保険料控除及び個人年金保険料控除
  生命保険会社等から発行された証明書(個人年金の場合は「個人年金」と表示されています、
一般の生命保険で支払額が9千円以下の場合は添付しなくても差し支えありません)を添付する必
要があります。
(2)地震保険料控除
  地震保険料控除又は平成18年12月31日までに締結した長期損害保険料控除とも控除証明
 書を添付する必要があります。
(3)社会保険料控除
  給与から控除されている社会保険料以外の社会保険料について記載します。
  本人及び本人と生計を一にする親族が負担することになっている社会保険料を支払った場合に記
 載します。(親族の給与や年金から差し引かれたものは控除できません。今問題になっている、後期
 高齢 者医療制度の保険料も全て年金から控除することにしたことが、問題になった原因の一つに
 なっているようです)
(4)小規模企業共済掛け金等控除
  本人が直接支払っている者については証明書の添付が必要です。
  本人自身の分しか控除できません。

4 給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
  確定申告した税務署から送付された「平成20年分の住宅借入金等特別控除申告書」の用紙
 の下の部分が「控除証明書」になっていますから、必要事項を記載した上、「年末残高等証明書
 (金融機関から送付されます)」を添付して提出します。
  なお、平成20年分住宅借入金等特別控除」は確定申告した年の10月頃税務署から全ての
 年分について送付されますから大切に保管して下さい。もし、控除申告書を紛失した時は、税務署
 に書類の再交付を申請してください。
  また、平成11年から18年に入居した人で、所得税から住宅借入金等特別控除を控除しきれなく
 なった場合は、お住まいの市区町村の税務課(市区町村により名称は異なります)へ「特別区民税・
 都民税住宅借入金等特別控除申告書・給与収入のみを有しており確定申告書を提出しない納税
 者用」(この用紙は市区町村にあります、また、市区町村のHPからもダウンロードできます)を平成21
 年3月16日までに提出すれば住民税から控除することができます。詳しくはお住まいの市区町村の
 税務課等にお尋ねください。

 台東区役所 03-5246-1111  URL:http://www.city.taito.tokyo.jp/
 荒川区役所 03-3802-3111  URL:http://www.city.arakawa.tokyo.jp/


■ 事業的規模とは
 不動産所得の場合、事業的規模である場合には「不動産所得を生ずべき事業」(以下「事業」と
 いいます。)、事業的規模に至らない場合には「不動産所得を生ずべき業務」(以下「業務」といい
 ます。)とに区分され、実質上所得の種類が異なる場合と同様の取扱いになっています。

1 所得計算上の相違点

(1)固定資産の取り壊し、除却等の資産損失の額は「事業」の場合は全額必要経費、「業務」の
 場合はその年分の資産損失を差し引く前の所得金額が限度になります。
(2)賃貸料の貸倒等の金額は「事業」の場合は全額必要経費になりますが、「業務」の場合は収入
 に計上した年分までさかのぼって、その回収不能となった金額に対応する部分の金額はなかったもの
 として、所得金額の計算をやり直おします。
(3)青色申告特別控除については「事業」の場合は最高65万円、「業務」の場合は最高10万円
 の控除となります。
(4)青色申告の事業専従者給与及び事業専従者控除については「事業」の場合は適用が可能です
 が(事務量が多くもっぱら事業に専従する場合に限られますので、適用するときは注意が必要です)
 「業務」の場合には適用ができません。

2 判定の基準

(1)社会通念上事業と称するに至る程度の規模で建物の貸し付けを行っているかどうか。(実質基準・
 これだけでは判定が困難なので、次の(2)及び(3)の形式基準があります。)
(2)貸間、アパート等については貸すことができる独立した室数がおおむね10室以上であること。
(3)独立家屋の貸し付けについては、おおむね5棟以上であること。

3 判定にあたっての注意点
  上記の形式基準に該当する場合については、問題ないのですが、実質基準で判断するには、不動
 産収入金額、管理の程度、広告等の状況、その者の兼業の有無及び不動産所得により生計の大
 半を維持しているかなどの状況を総合的に判断することになるますから、細心の注意が必要です。
  アパート10室以上の収入があり、その所得で生計の大半を維持しているような場合には、「事業」
 と認められると考えられます。

4 参考(事業税の判断基準・抜粋)
(1)住宅の場合10棟以上又は10室以上
(2)住宅以外の場合5棟以上10室以上
(3)貸付用建物の面積が600u以上であり、かつ賃貸料収入が1千万円以上の場合


■ 社会保険診療報酬の特例(「以下「特例」といいます。)を受ける場合の注意点

(1)特例を受けることができる人
   医業又は歯科医業を営む個人

(2)特例を受けられる収入
  社会保険診療報酬につき支払いを受けるべき金額(健康保険法、国民健康保険法、高齢者の
 医療の確保に関する法律、国家公務員共済組合法及び地方公務員共済組合法等による給付等)

(3)特例を受けられる金額の限度及び概算経費の金額
   社会保険診療報酬5千万円以下

 社会保険診療報酬(a)          概算経費の金額
2500万円以下               a×72%
2500万円超3000万円以下      a×70%+50万円
3000万円超4000万円以下      a×62%+290万円
4000万円超5000万円以下      a×57%+490万円

(4)特例を受けるための要件
   確定申告書に特例を適用して計算した旨の記載が必要なので、具体的には所得税平成 年分
  青色決算書(一般用)付表<医師及び歯科医師用>又は平成 年分収支内訳書(一般用)
  付表<医師及び歯科医師用>を使用して計算します。

(5)特例の選択をする際の注意点
注1 特例の概算経費の金額のほうが若干少ない場合には、租税公課、諸会費、及び接待交際費
   等の、家事費等の必要経費に算入できないものが混入しやすい経費について、前年分と比較し
   て異常はないか、金額の大きいものについては、支出の必要性があるか、等の見直しをして、間
   違いがないか再確認する必要があります。
    私の税務署の経験からすると、調査したほとんどの人が、家事費を混入していました。、なかに
   は、特例を適用した場合の数倍の税金を支払うことになった人もいます。見直しの結果概算経費
   の方が有利になれば特例を選択して申告することになります。
   調査で経費を否認された結果、概算経費のほうが有利になっても、特例を選択することはできま
   せんので注意が必要です。
注2 青色申告特別控除は特例を受けた所得以外、自由診療報酬分の所得からしか控除できませ
   ん、この誤りも結構ありますから注意が必要です。
注3 特例の計算の中で、自由診療収入分と社会保険診療報酬分とに「明確に区分できる経費」が
   ありますが、申告する人が自分だけわかっても「明確に区分できる経費区分」にはなりません「明確
   に区分」した結果をわかるように表示しましょう。また、自由診療報酬にかかる部分だけ取り出して
   「明確に区分できる経費」とすることもできませんので注意が必要です。このような誤りも見受けら
   れます。
注4 特例の適用にあたっては、自由診療報酬が少ない人が、青色事業専従者給与を支給する場
   合には、給する専従者給与について大部分が社会保険診療報酬分の経費に含まれることにな
   るので、専従者給与を支給しないで扶養家族にした場合と両方を計算して税負担を考える必要
   があります。
    なお、専従者給与を支給した場合には、控除対象配偶者及び扶養親族には該当しなくなる
   ので、専従者給与を支給する前に考える必要があります。支給してしまった専従者給与の自己
   否認はできないので注意が必要です。


■変動所得及び臨時所得がある場合の平均課税

(1)どんな人が対象になるの
 次の@変動所得又はA臨時所得に該当する所得のある人
@変動所得
 ○漁獲から生ずる所得
  はまち、まだい、ひらめ、かき、うなぎ、ほたて貝若しくは真珠(真珠貝を含む)の養殖から生ずる所得
  のりの採取から生ずる所得
 ○原稿又は作曲の報酬による所得
 ○著作権の使用料による所得

A臨時所得
 ○職業野球の選手その他一定の者に専属して役務を提供する人が、3年以上の期間の専属契約に
  よって一時に支払いを受ける契約金で、その金額が報酬年額の2倍相当額以上であるものによる
  所得
 ○不動産、不動産の上に存する権利、船舶、航空機、採石権、鉱業権、漁業権及び工業所有権
  などを3年以上の期間他人に使用させることによって一時に支払いを受ける権利金、頭金その他の
  対価でその金額がこれらの資産の使用料の年額の2倍相当額以上である者による所得
 ○一定の場所における業務の全部または一部の休止、転換又は廃止によってその業務について3年
  以上期間の不動産所得、事業所得又は雑所得の補償として支払いを受ける補償金による所得
 ○そのほか、業務に供する資産の全部又は一部について鉱害その他の災害により被害を受けた人が、
  その被害を受けたことにより、その業務について3年以上の期間の不動産所得、事業所得又は
  雑所得の補償として支払いを受ける補償金による所得

(2)無条件で受けられるの?(平均課税の適用要件)
  次の要件に該当する必要があります
  その年分の変動所得の金額が前年分と前々年分の変動所得の合計額の2分の1に相当する金
  額を超え、かつ、その年分の変動所得と臨時所得の各金額の合計額がその年分の総所得金額の
  100分の20以上であること(どちらか一つで要件を満たせば適用できます)

(3)どうすればいいの(手続き)
   所得税の確定申告書に「変動所得・臨時所得の平均課税の計算書」を添付する必要があります

(4)こんな人は税金が安くなる場合があります
  ○貸地があって20年の契約期間が過ぎ更新料を受け取った
  ○店舗の家賃を滞納していた人との争いが、裁判所による和解で、5年分の家賃を一括で受け
   取った  
(5)確定申告を普通の計算で提出してしまった人は
  「やむを得ない」事情があると認められれば適用されることもあるますが、「忘れていた」、「税理士に
  言ってなかった」などの理由では認められませんのでご注意下さい
 

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